11. 日本での生産にこだわる ④
2023.07.10
日本国内で靴を生産していくときに、一番の大きな課題は、縫製(ミシン)です。
どうしたら国内の縫製現場を守れるか。
縫製現場の方と話をしました。
縫製現場は高齢化で存続が大変、という話は事実多いですが、 話のなかで見えてきたのは、縫製場をやめよう と考える理由の中で最も多い理由が、 体力の限界 とかではなく、 難しい仕様の縫製を、高品質で維持するのが難しい ということです。
なぜ難しい仕様ができないかというと、目の衰え です。
目が霞む、疲れてくると手元がずれ直線で縫えない 等。
でも、少しミシンがゆがんだり、糸玉ができるだけで、今の日本の品質基準では不良扱い になってしまうのが現実です。
私も過剰な品質要求に納得がいかなくなってしまいました。
レシピを考え始めた13年頃の話です。
現場の意欲を持続可能にしていくためには、シンプルな靴を作ればいい ただそれだけです。
作りやすい靴の仕事を主力にすることで、縫製場の求める仕事が出せます。
とにかく縫製場がストレスなく作れる靴づくり、これが第1歩。
レシピの靴は、漉き、折り込みといった、工程を無くしています。
その方がシンプルな靴づくりになるからです。
カウンターも先芯もなし。複雑なデザインもなし。
ミシンの総距離もできるだけ少なく。
結果的に、縫製場のことを考えた靴にすることで、 部品も少なくなり、靴全体の軽量化にもつながり、柔らかくなり、履きやすい靴となることにつながりました。